リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ おまじないは繰り返されることで効果を発揮するんだな。わたしの輪郭をさらに太く柔らかく包むコトバ。白く濁った青紫色の光。 このコトバを、わたしもきみに何度でも繰り返して、それがきみのおまじないになったらいいな。太く確かにきみの体を包んで、どんなときも守れたらいいな。 別々のところにいても、わたしときみがいつも、同じコトバで包まれていたらいいな。 続きを読む
母の目に リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ 母の目に 花がたくさん映り 蛇のぬけがらがたまに 光りますように ぼくは歩く ぼくの名前はこれだけ あなたともう一度出会うことはできない 母の目に つんつんにぎやかな山の峰が映りますように 大きな夕陽が 広がる夕焼け空が あなたの体をあたためますように 続きを読む
手のひら リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ あのとき そろばんをはじき あのとき 髪の毛を強くひっぱり あのとき 布団の冷たさを感じ あのとき 硬い頭をたたき あのとき ぐずぐずのティッシュを丸く固めて あのとき 小さな字で詩を書いていた 手のひらは この 手のひらなのか ぼくは生きのびた 生きのびた手のひらを見 つめられず そっとぎゅっとにぎった 続きを読む
リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ ぼくがどんなに遠くまで 自転車をこいだとしても 生きものであることに変わりはない プログラミングをして 自動ドアにむかえられて くつひもを結び 文字を言葉にして読み 鏡に映る口を見て 布団を頭まで被っても ぼくは生きもののままだ 続きを読む
深いみどりへ リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ 深いみどりをのぞきこんで きみのまなざしを思い出すよ ここにきみはいないが きみはぼくのこころに寄り添おうとして 船を漕いでくれるだろう それがいまでなくともかまわない ぼくは 深いみどりに手を入れて うでを するすると入れて きみからのまなざしを思い出している 続きを読む
リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ 誰かの歌声に隠れながら書き始める。音楽を聴くと感情が簡単に揺れる。だから、そのときの気持ちだけがまるで真実みたいに感じたり、普段が嘘のように、何かを忘れたまま生きていたように思えたりする。だけど、音楽を聴いていないときも、あなたの歌を聴いていないときもわたしは存在している。音楽は行動や気持ちを簡単に作るからこそ、それに流されたくないときがあるよ。音楽はすきだよ。踊るのもすきだよ。自分でやめられるあいだはすきだ。 続きを読む
リンクを取得 Facebook × Pinterest メール 他のアプリ 涼しい風が日陰をさっさと冷やして真夏のピークが過ぎた。このあいだまで素足じゃ火傷しそうに熱かったコンクリートの道で、風光が鼻を持ち上げたまま立ち止まった。 軽自動車がうるさく行き交っていたはずなのに、その音を覚えていない。覚えているのは、熱さと緊張で少し平ために開いた風光の口元と細めた目。涼しい風を感じる毛だらけの体。 続きを読む