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7月, 2020の投稿を表示しています
羽化したてのオニヤンマをみた。 明るい黄色と黒色の縞模様は尾ではなくて腹らしい。空気に触れて、体と垂直にひらかれた翅は濡れているのか、涼しい朝の光を受けて、ぬら、と瞬いていた。 ゆっくりとした反射は、ぬら。素早い反射は、きら。弾力を感じるような反射は、ぬら。硬質な反射は、きら。てら、は浅い反射。てら、はパルムのチョコレートコーティングを舐める速さの反射。 そのオニヤンマは生きていた。 朝、風子との散歩中にみつけて、真ん中の兄に駅まで送ってもらうとき、ちょっと車を停めてもらって写真を撮った。昼過ぎ、駅まで迎えに来てくれた母の車をまたちょっとだけ停めてもらって、オニヤンマが居なくなったことを確認した。 うれしかった。生き残って、きっと飛んで行ったのだ。抜け殻も見当たらなかった。 眠たくなってしまった。おやすみなさい。
祝福されている。スイカと、空を引き伸ばす桃色。濃くなる水色。発光する色。やわらかい潮風。あたたかい空気。
かたつむりをやっとみた。 やっと、というのは6月にみるものとおもっていたからだ。 雨がいつまでも、いつでも降る。降水確率のものすごく高い、7月の午前10時すぎ。 雨水がじゃんじゃん染み込んで黒ずんだ(ようにみえる)コンクリートブロックのすべすべを、ずらっとした目で眺めた。 すると、わたしの腰くらいの高さのブロック塀に、わたしの小指の爪ほどのかたつむりが三匹くっついていた。 かたつむりにとってはくっつくというより、進んでいるところなのかもしれないけど、わたしに壁を歩いたり走ったり飛んだり這ったりした経験がないせいで、かたつむりの行為は冷蔵庫のマグネットと同じことばで処理されてしまう。 眠たくなってしまった。 まだまだ書きたいことがたくさんある。 ニオイコベニタケを盗んで庭に投げた。
毎日島ができる。「君と僕」島。「神さまと僕」島。「ふたり」島。さっきまでただの道路だったところが急に「あなたと世界」島になる。びっくりして早足で抜け出すと真横で「猫」島ができて、生えた塀が耳を掠めた。 それらは実際のところ建物とか陣地に似ていて、それを島と呼ぶのはわたしが島しか知らないからだ。 部屋に帰っても島はじゃんじゃんできる。塗り絵みたいなものなのかな、とおもう。また足をどかす。 昨日から、「おいしーい」すいかを食べている。口に入れて、噛んだときにしゅうと萎むすいかがとくにすきなのかもしれないとそれを食べておもった。 それでも「すいか」島はできない。わたしは違う島にいる。 人間のことを覚えていられない。お風呂から上がって、母や父がいるといまだに驚く。「いっしょに住んでいたっけ」ではなく「実在していたのか」のほうで。「ほんとうだったのか」にも似ている。 「自他境界」やら「自他の分別」がはっきりしていないのだ。だから、「他者」に近づきたくない。侵害したくないのだ。こういうとき、忘れっぽいと都合がいい。 6月30日がすきだったな。7月にはいったけど、風は変わらず強いのでおかしい。ふふふ。