羽化したてのオニヤンマをみた。
明るい黄色と黒色の縞模様は尾ではなくて腹らしい。空気に触れて、体と垂直にひらかれた翅は濡れているのか、涼しい朝の光を受けて、ぬら、と瞬いていた。
ゆっくりとした反射は、ぬら。素早い反射は、きら。弾力を感じるような反射は、ぬら。硬質な反射は、きら。てら、は浅い反射。てら、はパルムのチョコレートコーティングを舐める速さの反射。
そのオニヤンマは生きていた。
朝、風子との散歩中にみつけて、真ん中の兄に駅まで送ってもらうとき、ちょっと車を停めてもらって写真を撮った。昼過ぎ、駅まで迎えに来てくれた母の車をまたちょっとだけ停めてもらって、オニヤンマが居なくなったことを確認した。
うれしかった。生き残って、きっと飛んで行ったのだ。抜け殻も見当たらなかった。
眠たくなってしまった。おやすみなさい。