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9月, 2021の投稿を表示しています

母の目に

母の目に 花がたくさん映り 蛇のぬけがらがたまに 光りますように ぼくは歩く ぼくの名前はこれだけ あなたともう一度出会うことはできない 母の目に つんつんにぎやかな山の峰が映りますように 大きな夕陽が 広がる夕焼け空が あなたの体をあたためますように

手のひら

あのとき そろばんをはじき あのとき 髪の毛を強くひっぱり あのとき 布団の冷たさを感じ あのとき 硬い頭をたたき あのとき ぐずぐずのティッシュを丸く固めて あのとき 小さな字で詩を書いていた 手のひらは この 手のひらなのか ぼくは生きのびた 生きのびた手のひらを見 つめられず そっとぎゅっとにぎった
ぼくがどんなに遠くまで 自転車をこいだとしても 生きものであることに変わりはない プログラミングをして 自動ドアにむかえられて くつひもを結び 文字を言葉にして読み 鏡に映る口を見て 布団を頭まで被っても ぼくは生きもののままだ

深いみどりへ

深いみどりをのぞきこんで きみのまなざしを思い出すよ ここにきみはいないが きみはぼくのこころに寄り添おうとして 船を漕いでくれるだろう それがいまでなくともかまわない ぼくは 深いみどりに手を入れて うでを するすると入れて きみからのまなざしを思い出している