涼しい風が日陰をさっさと冷やして真夏のピークが過ぎた。このあいだまで素足じゃ火傷しそうに熱かったコンクリートの道で、風光が鼻を持ち上げたまま立ち止まった。
軽自動車がうるさく行き交っていたはずなのに、その音を覚えていない。覚えているのは、熱さと緊張で少し平ために開いた風光の口元と細めた目。涼しい風を感じる毛だらけの体。