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『英文学史入門』を読み続けている。面白い。文学理論を読んでいたときにはなかった、手のひらに残る面白さだ。 だって、わたしはこれを、手放さなくてもいい。ずっと持っているための、何度も繰り返す名をはじめて聴くよろこび。そんなものを味わったことがなかった。 ジョン・ダンの詩を知らないのに、まるで強い影響を受けているみたいだった。インターテクスチュアリティ。知らないまま、わたしはたしかにことばを学んでいた。
『独り舞』を読んで底にひっついてしまった。友だちに勧めてしまったけれど、あわてて撤回した。 離人感や、隔たり。 死と生が支えるだいすきな世界の、向う側がとつぜん透けてみえる。 揺れる陽炎をみつけて、世界に覗きこまれていることを知る。 どれも悪いものじゃない。もっちゃいけないものじゃない。苦しくてもいい。大丈夫じゃなくてもいい。そのまま読みつづける。
うれしくてどうしようもないことが、まいにち起きて芯になった。わたし以外のほんとうがここについている。つづいていく。 黒猫は、濡れてるみたいだな。水たまりをみると、濡れていないとおもう。黒い車が通って、ちゃぷんと音を立てた。
トマス・モアの『ユートピア』を読みおえた。 宗教がないと、見られることができないのかな。 わたしたちの目は感覚器官だ。網を用意して、ひっかかる刺激をまっている。むやみに振りまわせば、線になるまえの点たちは格子を通りすぎてゆく。
七時半に外に出て、桃色の空をみた。これをみせられたらどんなにいいだろうとおもって、そのぶん見上げた。 しばらくしてまた空を見上げると、いつのまにかピンク色のつぶつぶで覆いつくされていた。降り注いでいるようにはみえないな。輪郭のいらなくなった粒子たち。まばたきをする。 七月と、夏のまるごとを、お祝いしてもらう。 「たくさんおいしいすいかを食べられる夏になりますように」 『ユートピア』がおもしろい。