おとうさんの誕生日は、葉っぱと海がぴかぴかの、空がふわふわの晴れだった。
できたことがいくつもあった。おめでとうということ。だいすきだと伝えること。ハグをしてもいいか訊くこと。ぎこちなくなった自分を部屋に入れてもとに戻せたこと。プレゼントを渡せたこと。ケーキを買えたこと。いっしょにスーパーに行ってお弁当を選び、買ってもらったこと。
海を眺められる東屋で、お弁当を食べた。
母と父の間に座って、わたしは海や人や波の泡や岩やごみやいなり寿司や空やカモメをみていた。警戒していたトンビは一匹もみあたらなくて、逆に変な感じだった。
突然和太鼓と横笛のパフォーマンス(練習かな)がはじまったので、とりあえず踊った。おかあさんが「帰ろうか」というまで、座ったりうろうろしたり撫でてもらったりしながら、踊り続けた。
上へ下へ弾むように繰り返される蚊柱。