きのうみたものについて、書き損ねていた。
すずめの重みで撓んだすすき。穂の近くにとまって見事なすずめ付きすすきになっているものもあれば、位置取りが低かったのか、とまったとたんにぐにゃんとすすきの背が折れてすずめがふんわりみえなくなるものもあった。
あれはああいう遊びなのだろうか。おかしくてひとり笑った。風子といっしょに歩いてることも忘れてしまった。
アルバイト先からの暗い帰り道、iPodの白い光がわたしの吐く息を白い粒の群れにしてみせてくれた。たのしくて、歌う声が大きくなった。「ローヌの岸辺」。
口を大きく開ける。穴から関節のない黄色い腕が二、三本あらわれて、夜の冷たい空気に触れようとして、惑星がちらちらみえる紫色の空に指を届かせようとして、上へ上へ伸びる。けど、それほど長くならない。
口を閉じてカーブミラーに投げた光を自分の目で捉える。眩しいけどみれないほどじゃない。
いつかあの道で、濡れたムカデをみた。
イチョウの黄色い葉をきょうも照らしてみよう。小さい扇が珍しいのだ。
若い木の葉も毎年落ちて腐る。去年とは違う葉っぱ。
落ち葉の濡れたあまい匂い。