醜い政治家の酷いニュースが続いている。
体の奥底の洞窟からぐるぐる声が反響して届く。ほら。みたろ。こんなところにいたんだよ。わたしのざわめき。うん、と頷きたいのにできない。肋骨の内側から、ぐい、ぐいと押される。そこにいるんだよ。わたしが。それしかいまは聞こえなかった。十分苦しい。ここからは読んで、考えなくちゃ。
昼ごろ、庭の草のうえで転がっている風子を迎えにいったら、そのまわりを黄色い蝶がふわふわと舞っていた。風子の黒い鼻がぼんやりと光って、体はほとんど光になっていた。触れるまで、線がなかった。眩しくて、暖かい光。
爽楽はげんきかな。
呆れて笑っちゃうような自分を脳から知っても、それでいいやとおもえる。
蝶がうれしくて、写真を撮ったほうがいいかな、と目で追っていたら、わたしの足元にふわりと近づいて、すぐに離れて、ジャンプしても届かないだろう高さまで簡単(そうみえるのだ)に飛んだ。それよりすこし上の方に、黄色い蝶がもう一頭いた。二頭の黄色い蝶はもう、わたしのものでも風子のものでもない世界で飛んでいた。