おばあちゃんが、しんでしまった。
おかあさんが、おばあちゃんの顔をみせてくれた。「かわいいやろ」と、おかあさんは言って、わたしも、とてもかわいいと、おもった。
由美子さんのことばが、部屋の、あらゆるところに、くっついていた。だから、すこしずつ、由美子さんをおもう。
 
おばあちやのところへ向かう時間で、『なつのひかり』を読みおえた。そして、「これは、ちかいかもしれない」と、おもった。
「これ」とは、『なつのひかり』なのか(おそらくちがう)、読書なのか(そうともいえない)、物語なのか(そうかもしれしない)、べつの何かなのか、どうしてもわからない。何にちかいのかも、わからない。
ただ、わからないことをおもうまえに、志村のことを考えていたことは、確かだった。


死について。


おばあちゃん、わたし、未知で、いられたかな?