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 ブログをしばらく書かなかったのは溶けてゆく氷のように毎日を過ごしたかったから。滑るように止め処なく過ごしたかったから。時間は簡単に止まるけど、それを書き留めないでいた。 イチョウの尖った枝ぶりがすきで、それに貫かれることを妄想すると気持ちよさを感じるようになった。それから数日後、その感覚が実物のわら半紙を実物のシャープペンシルで貫いたときに得る快感とよく似ていることに気づいた。貫かれる妄想で得ていた快感は貫く側の快感だったのだ。自分の頭の都合の良さが嫌になった。 それなのに裸のイチョウの木をみつけると快楽物質はすぐに沸いて脳内を駆け巡る。 こんなことばかりなのかもしれないと自分を気持ち悪くおもう。 アルバイトに通う道にも風光との散歩道にもイチョウは立っていた。 さっきの段落を書いているあいだ、自分の感覚はやっぱり当てにならないとおもい続けていたけど、それで構わないことをおもいだした。自分を善良な存在だなんておもっちゃだめだって、『さんかく窓の外側は夜』で半澤さんが言ってた。わたしは「その通りだ」とおもってするする読んでいた。 疑い深いとおもっていたのにいつのまにか簡単に信じる人間になっていた。いけないことだ。さんかく窓もまた読み返そう。 髪の毛をたくさん切ってもらって短くなった。気に入ってる。強い風のなかを大股で歩いて、目の中に入る塵をいくつか感じた。そのときのわたしが、わたし全体がそうできたことは、偶然のことだった。